活動情報
ブログ

活動情報

EC物流委員会 成果発表会のご報告

2025.09.30

2025年9月26日、秋葉原・富士ソフトにて「EC物流委員会成果発表会」が開催され、約120名の参加者が集いました。
本年度は「多様化するEC物流におけるDXの推進」をテーマに、2024年10月から1年間にわたり、現場課題の抽出から技術導入、業務プロセスの再設計まで、実践的な取り組みを展開してきました。

AIとDXで描く、EC物流の未来地図

当日は、4つのワークグループによる成果発表に加え、EC物流委員会委員長・川村勝宏氏(アスクル株式会社 取締役COO)による特別セミナー「EC物流の現場から見える未来~AI・DXで創る新たな供給網~」も実施。AIとDXがもたらす物流革新の可能性について、現場と経営の両視点から考察する貴重な機会となりました。
物流現場で活躍される皆様、DX推進に取り組む企業担当者、EC事業者の方々にも多数ご参加いただき、非常に有意義な交流が図られました。

◎ワークグループ1:「3PL事業におけるDX推進のハードルとは」

人手不足や顧客ニーズの多様化に対応するため、DX推進策を1年間にわたり検討。現場調査を基に、自動化設備の導入や業務効率化の事例を分析しました。
国・自治体の補助金制度を活用した導入コストの軽減策も提案し、DX推進の障壁を下げる実践的なアプローチを提示。さらに、現場スタッフのスキル向上を目指した教育体制の整備にも取り組み、変化に強い持続可能なEC物流体制の構築を目指しました。
これらの取り組みを通じて、未来のEC物流を切り拓くロードマップを提示しています。

◎ワークグループ2:「DXの現状とDXキーマン(推進人材)研究」

物流現場における自動化推進とその課題について、複数企業の導入事例を分析。設備の種類・機能・導入コスト・運用効果を比較し、特に搬送ロボット・仕分けシステム・AGV(無人搬送車)などの技術に着目しました。
現場の効率化と省人化に寄与する具体的メリットを示すとともに、補助金制度による初期投資の負担軽減策や、DX人材育成の重要性も提案。
人手不足や多様化する業務ニーズに対応し、持続可能なEC物流の実現を目指しています。

◎ワークグループ3:「倉庫DXの成功と失敗要因」

物流業界におけるDX推進の実態を、成功・失敗の具体例を交えて分析。
成功例では、現場の声を基に課題を抽出し、小規模な改善を積み重ねながらITツールを柔軟に導入。業務効率化だけでなく、従業員の納得感やモチベーション向上にもつながりました。
一方、失敗例では経営層の戦略が現場に浸透せず、ツール導入が形骸化。運用定着が進まず、DXの成果が得られませんでした。
「育てるDX」の考え方が重要であり、継続的な改善文化と現場の主体的な関与が成功の鍵と位置づけられています。DX人材育成や社内コミュニケーション強化、多様なステークホルダー間の連携も不可欠であるとされました。
今後は、デジタル技術の活用に加え、組織文化の醸成と現場教育に重点を置く必要性が強調されました。

◎ワークグループ4:「EC市場をとりまくAIと物流DXの進化」

1990年代のEC物流は個別配送が中心の黎明期。2000年代には宅配網の整備と標準化が進み、ECの基盤が形成されました。
2010年代にはスマートフォンの普及により即時配送ニーズが高まり、2015年以降はオムニチャネルが進化。現代ではECと実店舗の融合が進み、多様な販売チャネルを連携する物流体制が求められています。
2030年代には「ユニファイドコマース」への移行が進み、顧客接点の一貫性が最重要視されます。プレイヤーは在庫・注文・配送情報をリアルタイムに統合し、物流ロボットと人が協業する柔軟かつ効率的な運用が加速。
「単一の在庫真実」を基盤に、注文オーケストレーションや標準化されたデータ管理が不可欠となり、ロボティクスや自動化の実装によって物流品質は飛躍的に向上します。
顧客と物流環境のギャップは、リアルタイムデータ連携と高度な自動化技術によって解消され、最適な顧客体験の実現が期待されます。

◎まとめ

2025年9月26日に開催されたEC物流委員会成果発表会は、約120名の参加者とともに、「多様化するEC物流におけるDX推進」をテーマに1年間の実践的な取り組みと成果を共有する場となりました。
各ワークグループは、3PL事業のDX推進の課題と解決策、自動化設備の導入と人材育成の重要性、倉庫DXの成功・失敗要因の分析、そしてAIとロボティクスが牽引する未来のEC物流のビジョンを具体的に示しました。
特別セミナーを通じて、AIとDXが物流業界に与える革新の可能性が経営と現場の両面から深く掘り下げられ、持続可能で柔軟な物流体制の構築に向けた方向性が明確になりました。
今後も現場の声を大切にしつつ、技術革新と人材育成の両輪を推進し、EC物流のさらなる発展と顧客体験の最適化を目指していくことが期待されます。

EC物流委員会成果発表会に資料はダウンロード | 一般社団法人 日本3PL協会よりダウンロード可能です。

タグ一覧

メールでお問い合わせ

お電話でお問い合わせ

【受付時間】9:00 〜 17:00(土日祝・年末年始を除く)