活動情報
2022年度EC物流委員会「成果報告会」開催の報告
2023.09.16
関東圏は台風通過で足元の悪い中、多くの方に成果報告会へお越しいただき、盛大に開催することが出来ました。
◆EC物流委員会の活動について
EC市場は、スマートフォンやiPadなどのモバイル端末の普及に伴いMC(モバイルコマース)へと進化しております。新型コロナウイルスの感染症拡大の対策として、外出自粛の呼びかけやEC(エレクトリックコマース)への利用が推奨された結果、店舗での対面販売からインターネットを利用したEC販売へと移行が進み、生活様式も大きく変化して参りました。
また、日本の社会も少子高齢化による労働人口の減少とEC市場の拡大に伴う物量の増加による需要と供給のバランスにギャップが生じ、EC物流の大きな課題となりつつあります。
2022年度の活動は、「EC物流に於ける自動化とSDGsへの取り組み」をテーマとしたワークグループ活動で、継続可能な目標(SDGs)を持ったEC物流の自動化に対して活動を行いました。
◆EC物流委員会川村委員長(アスクル株式会社取締役COO)より挨拶と講演
アスクルでは、持続可能な発展目標(SDGs)の実現に向けた積極的な取り組みとして、《植えて、育てて、収穫する》「1box for 2trees」プロジェクトを通じて、現地インドネシアのスタッフとともに「木の畑」でのコピー用紙の循環を行っており、SDGsに積極的に貢献しています。
また、物流センターの自動化を通じて、環境への負荷を軽減し、効率的な運営を実現することで、物流プロセスの効率性が向上しています。例えば、自動化された倉庫管理システムにより、在庫の最適配置やピッキングプロセスの最適化が可能となり、無駄な移動や作業時間を削減できるとともに、自動化によって精度も向上し、誤出荷や在庫のムダを減少させ、商品のロスを最小限に抑え、SDGsの「持続可能な消費と生産」に貢献しています。SDGsの達成と物流センターの自動化を通じて、経済的な成果と社会的な貢献を両立させ、持続可能な未来の構築に向けて進めています。
◆ワークグループ1の発表
発表テーマ:「中小EC荷主を抱える3PL事業者の人手不足問題への対処法の検討」
昨今、EC市場の拡大によりEC物流の需要が増えると共に、EC物流を担う3PL事業者は人手不足、燃料費の高騰、リードタイムの短縮など多くの課題に直面しており、特にEC特有のサービスによりマンパワーに依存したオペレーションで対処している現場も少なくなく、人手不足に拍車をかけています。
そして、2023年問題が目前に迫り、物流業界では人手不足及び、働き手を継続的に確保することは容易ではなくなりました。その為、人手に頼らないオペレーションが求められており、こうした状況に置かれた3PL事業者が人手不足問題にどのように対処できるかについて研究を行いました。研究成果として下記事項を発表させて頂きます。
① EC物流とは?
② EC物流における課題と解決案模索 ~自動化~
③ 自動化技術導入に於ける問題点とは
④ 中小3PL事業者に於ける自動化機器導入検討
⑤ 解決案A,Bの提案
⑥ 自動化機器導入によって実現されること
◆ワークグループ2の発表
発表テーマ:「食品ECの拡大の課題と対応策~物流とデジタルを駆使した新たなる打ち手とは~」
日本の物販系EC市場規模の規模は年々増加し、2022年度には13 兆 9,997 億円となり、EC 化率 9.13%と成長しました。その中で人間が日常生活を営む上で必要不可欠な【衣・食・住】の中で最も重要な食に対する食品市場規模(食品、飲料、酒類等)は、2兆7,505億円で、EC化率は、4.16%(1,144億円)と、物販系分野の平均EC化率8.78%に比べ、低い数値となっており、EC化が進んでいない市場となっています。
その為、食品ECは伸びしろも大きく、さらなる発展が期待される分野と考えられ、食品市場の未来を支えるEC物流の役割について研究を行いました。その結果、EC物流業界の課題・問題点も少なからず関与しているのではないかと推測され、食品に対するEC化率が何故拡大していかないのか、食品ECに関する現状と課題を研究しました。
また、昨今のECの当たり前を取り除き、新たな考え方・切り口でEC物流を考察し、食品ECの拡大に向けて、物流×デジタルの目線で研究を実施しました。研究成果として下記事項を発表させて頂きます。
① 食品EC市場の実態
② 国内・海外の食品ECの動向
③ 食品EC化率向上のための課題
④ 食品EC化率向上に向けた取り組みの考察
・消費者の環境の変化
・食に対する志向の変化
・ネットスーパーの現在のターゲット層と今後のターゲット層
・ネットスーパーの利用率を上げる新サービス案
⑤ 配送の課題への取り組み
⑥ 現在の配送に対する取り組み(共同配送、受け取り方法の多様化、ラスト15フィート、クイックコマース)
⑦ 今後の取り組みのターゲット
1年間にわたるワークグループ活動を通じ、定期的に研究ミーティングを開催するとともに、実際の物流現場を体験する為にEC物流に携わる物流センターへ足を運び、実際に働いている方から現場で起こっている課題など生の声を聴きました。それらを生かし、EC物流における研究成果を収めました。また、自動化や省人化に向けた効率的な物流システムの導入や、持続可能なEC物流の考察など、多くの事を学ぶことが出来ました。
しかし、EC市場の急速な成長に伴い、EC物流では、需要の急増による在庫管理の難しさ、配送時間の短縮への圧力、環境への負荷などが挙げられます。これらの課題に対処するために、効率的な倉庫自動化技術の導入、持続可能な配送オプションの検討、データ分析を活用した需要予測の精度向上や、最新のテクノロジーを利用した、EC物流の課題に対する継続的な研究と対策が必要となっています。
EC物流委員会では、EC物流の継続的な研究を1年間のワークグループ活動として行っております。
今期のテーマは、「食品ECの未来を支えるEC物流の役割」として活動をさせて頂きますので、ぜひご参加をお待ちしております。